県文シネマ日和Vol.65 県文懐かし映画劇場 11/4(月・振休)~11/5(火)

県文シネマ日和Vol.65 <令和6年度優秀映画鑑賞推進事業>
県文懐かし映画劇場 11/4(月・振休)~11/5(火)

■上映作品

『血槍富士』
(1955年/白黒/スタンダード/モノラル/94分)
終戦間際に満洲に渡り、以来8年ほど中国で抑留生活を送った内田吐夢監督による帰国後第一作。千恵蔵演じる槍持ちの権八と加東大介演じる源太は、主人が江戸に向かうお供をする。道中での大泥棒騒動や、酒癖の悪い主人とお供たちの攻防、浮浪児や母娘との交流などを描き、喜劇や人情ものの趣もあるが、クライマックスで千恵蔵が見せるのたうち回るような激しい殺陣場面は壮絶のひとこと。本作は肺と胃を病んで帰国した内田監督を心配し、溝口健二や小津安二郎、清水宏、伊藤大輔といった仲間が、『道中悲記』(1927、井上金太郎監督)のリメイクを提案したことから生まれた。サイレント期から活躍する巨匠監督の久方ぶりの渾身の演出に、同じくサイレント期からのスターである千恵蔵が応えた。ラスト近くの場面では「海ゆかば」のメロディーが流れる。

監督:内田吐夢 
出演:片岡千恵蔵、島田照夫、月形龍之介、喜多川千鶴、田代百合子、植木基晴、植木千恵、進藤英太郎
加東大介、横山運平、加賀邦男

 

『旗本退屈男』
(1958年/カラー/シネマスコープ/モノラル/108分)
時代劇の大スター、市川右太衛門の「映画出演300本記念」として製作された東映オールスター映画。彼自身が設立した「右太衛門プロ」で初めてこの『旗本退屈男』(古海卓二監督)を映画化したのは1930年のことである。主演俳優とともに息の長いシリーズものになり、その総数は戦前戦後を合わせて31本に達している。戦後のシリーズ再開は1950年。占領軍による時代劇の製作規制が緩和され、 1951年に現在の東映が発足。右太衛門は、両雄と呼ばれた片岡千恵蔵とともに戦後時代劇隆盛の一翼を担っていく。豪華な衣装を身にまとい、天下御免の眉間の「三日月傷」と剣法「諸羽流正眼崩し」を駆使して胸のすく活躍をみせる、「天下の直参、早乙女主水之介(もんどのすけ)」は、右太衛門のはまり役として知られるばかりではなく、世間にはびこる悪を痛快に解決するヒーローとして広く長く大衆に支持された。

監督:松田定次 
出演:市川右太衛門、桜町弘子、片岡千恵蔵、大河内伝次郎、月形龍之介、大友柳太朗、中村錦之助、東千代之介、大川橋蔵、里見浩太朗、北大路欣也

 

『反逆児』
(1961年/カラー/シネマスコープ/モノラル/110分)
戦国時代を制し天下を統一、江戸幕府を開いた徳川家康には悲運の長男(三郎信康)があった。母は桶狭間の戦いで織田信長の奇襲を受け落命した遠江の雄、今川義元の娘(築山殿)である。父、家康が母にとっては仇敵にあたる信長の旗下にくだったことに彼の悲劇の源があった。本作は、史実をもとにした大佛次郎の原作「築山殿始末」を、時代劇の巨匠伊藤大輔が格調高く演出した作品である。原作では、信康を死に追いこんだ家康の側に比重が置かれていたが、映画では内部に矛盾をかかえた信康に焦点を当て、死を自らの運命として受け入れて切腹していく悲運のヒーローに造形している。数々の名作を作りつづけてきた伊藤監督にとっては、自分のイメージを投影することができる俳優、中村錦之助を得たことが大きく、彼もエネルギッシュな演技でその要請に応えている。「キネマ旬報」ベストテン第6位。

脚本・監督:伊藤大輔
出演:中村錦之助、桜町弘子、岩崎加根子、安井昌二、河原崎長一郎、河野秋武、香川良介、佐野周二、杉村春子、東千代之介、月形龍之介

 

『沓掛時次郎 遊俠一匹』
(1966年/カラー/シネマスコープ/モノラル/90分)
大衆文学の雄である長谷川伸の諸作品は「股旅映画」の原作となっているものが多い。この「沓掛時次郎」も戦前からたびたび映画化されており、異題も含めて8本の作品を数えることができる。中でも、戦後では4作目に当たるこの作品は、屈指の名作として知られているものである。気のいいやくざ、身延の朝吉(渥美清)、やくざ志望の若者、昌太郎(岡崎二朗)のエピソードや迫力ある殺陣シーンなどに「やさしさと怒りの世界」と評される加藤泰監督独自の世界があらわれている。当初加藤は脚本家(鈴木尚之、掛札昌裕)による、原作には登場しない人物の設定に戸惑ったともいわれているがこの二人の存在が物語をより陰影の深いものにしているといえるだろう。彼は「時代劇映画の巨匠」と言われた伊藤大輔の門下、大衆的な物語を特徴的なロー・ポジションで撮影し、豊潤な映像世界を作り上げた。

監督:加藤泰
出演:中村錦之助、池内淳子、中村信二郎、東千代之介、弓恵子、岡崎二朗、渥美清

 

上映情報

■日時:2024年11月4日(月・振休)・5日(火)

※開場:各日1回目の30分前

★11月4日(月・振休)
①10:30~12:04「血槍富士」
②13:00~14:48「旗本退屈男」

③15:30~17:20「反逆児」
④18:00~19:30「沓掛時次郎 遊俠一匹」

★11月5日(火)
①10:30~12:00「沓掛時次郎 遊俠一匹」
②13:00~14:50「反逆児」
③15:30~17:18「旗本退屈男」
④18:00~19:34「血槍富士」

 

会場高知県立県民文化ホール〈グリーンホール〉

 

料金:
1作品券…500円
(1作品券1枚につき、お一人様1回限りいずれかの上映回のみ有効)

4作品券通し券…1,500円 ★500円お得です
(4日・5日両日鑑賞可能)

全席自由/2歳以下膝上無料
8月8日より各プレイガイドにてチケット販売開始

 

チケット販売所:
ローソンチケット(Lコード:62884)
・高知県立県民文化ホール(088-824-5321)
・高知県立美術館ミュージアムショップ(088-866-7653)
・かるぽーとミュージアムショップ(088-883-5052)
・コープよしだ、コープかもべ

 

■主催
高知県立県民文化ホール(高知県立県民文化ホール共同企業体)/シネマ四国/国立映画アーカイブ

■特別協力
文化庁/一般社団法人日本映画製作者連盟/全国興行生活衛生同業組合連合会/株式会社KADOKAWA

 

【お問い合わせ】
高知県立県民文化ホール(高知県立県民文化ホール共同企業体)☎088-824-5321(9:00~17:00)
シネマ四国☎088-855-9481(9:30~19:00)

シネマ四国の電話・FB・メールで前売券のご予約ができます。
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